特別展記念講演会「鉱物の特徴と環境」
2017.4.23
13:00-14:30
大阪市立自然史博物館 講堂
大阪市東住吉区長居公園1-23
大人300円 高校生・大学生200円(博物館入館料)
講師:地下まゆみさん(大阪大谷大学教育学部准教授)
特別展「石は地球のワンダー」オフィシャルHP
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特別展「石は地球のワンダー〜鉱物と化石に魅せられた2人のコレクション〜」の記念講演会として開催されるこの講演会を聴講してきました。
この講演会があるからこの日に展示を見に来たというわけです。
特別展記念講演会「鉱物の特徴と環境」
<岩石とは?鉱物とは?>
岩石:火成岩(マグマがかたまってできる)、堆積岩(砂や石が堆積してできる)、変成岩(上記2つが圧力を受けてできる)
鉱物:固体地球の最小構成単位で岩石の構成物質。
天然に産出する無機質で一定の化学組成と結晶構造を有する固体物質。
水銀は液体だけど鉱物に含む。
鉱物の写真のスライド:銅、岩塩、蛍石、コランダム(ルビー、サファイア)、石英(水晶、オパール)。
お見せできないのが残念だが、こういうのが自分の目で見られるのが特別展。です。
<鉱物の大小(結晶の大きさ)>
大きい方。
メキシコのナイカ鉱山にはセレナイト(石膏)の巨大結晶(最大で長さ10mくらい)がある。
一定の環境が長時間維持されている洞窟の中で結晶が育った。
スライドで写真を見たが、結晶と言うと小さいイメージしかないのでとても違和感がある。
小さい方。
カオリナイト(粘土鉱物)の2μm以下の極小結晶。
アスベストの1μm以下の針状結晶。
ちなみにこの結晶が肺組織に刺さってがんの原因になる。発がん性は青石綿>白石綿。
<鉱物の特徴と分類>
・化学組成による分類
陰イオンが主要なのでそれによって分類される。
元素鉱物(ダイヤモンド、硫黄など)、硫化鉱物(黄鉄鉱など)、ハロゲン鉱物(岩塩など)、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、珪酸塩鉱物。
地殻内の存在度:長石>石英>・・・
・結晶系による分類
等軸晶、正方晶、六方晶、斜方晶。
結晶模型をストローとゴムひもで作ると理解しやすいとのこと。
これは面白そう。結晶とか関係なしに。
・硬度、光沢、劈開、比重、色、条痕色などによる分類
硬度(モースの硬度計(相対的な硬さを示す))・・・石英より硬いものが宝石になることが多い。
光沢:金属光沢、非金属光沢(ダイヤモンド、ガラス、真珠、脂肪、樹脂、錦糸)
劈開:方解石など
比重
色(鉱物の色調):塊の色と粉末の色。
着色の原因:特定の元素による光の吸収、結晶内の欠損による光の吸収、電荷の異なる陽イオン間での電荷移動によるもの
条痕色(粉末の色を見る)
蛍光:灰重石、方解石、蛍石。(紫外線照射で可視光を発する)
虹色を呈する鉱物:オパール、ラブラドライト
<鉱物の生成>
液体、気体からの結晶化。
鉱物がさらに変性し、新しい鉱物になる。
生物によって作られる。
宝石となる鉱物の条件:岩石中には希少な元素を主成分とする。
<鉱物の採集>
坑内掘り:中国の蛍石採集の様子をスライドで例示。
露天掘り:ロシアでの採集の様子を例示。
鉱物が多数算出する国はロシア、カナダ、アメリカで、日本列島では変成帯に比較的広範囲に産出される。
隕石:宇宙からやってくる鉱物。
基本的に地球上の物質と変わらないので、土の上に落ちると地球上の鉱物と見分けがつかない。
ロシア チェリャビンスクの隕石は破片が雪の上に落ちたので区別できた。
<鉱物の利用>
窯業(セラミックス)、金属資源、貨幣や装飾品、化学肥料、火薬。医薬品、研磨剤、建材、化粧品など多岐に渡る。
その一方、鉱物採掘や精錬などによる環境破壊が起こる。
2000年頃のロシアの銅精錬所の例。山の木は枯れ、川は酸性で真っ赤に染まっている。
日本でも足尾銅山が挙げられる。
鉱物の利用は環境破壊を少なからず引き起こしている。
そのように得られた資源は大切に使わなければならない。
最後に、鉱物は長時間かけて形成されるもので、見た目だけではない視点を持って見てもらいたい と講演を締めくくられました。
幼少の頃から石に関心のあった先生の今も変わらぬ鉱物への関心の高さとその魅力を伝えたいという思いが伝わってくる講演でした。
これは研究者や技術者にしばしばみられることだけど、自分の扱っている対象に対して「この子」と呼ぶ。先生もそうだった。
こういうのをきくと鉱物に対する思いが伝わってきてほっこりします。
講演中、鉱物の写真がたくさん出てきたが、百聞は一見に如かずで標本を自分の目で見るのが一番だと思う。どんなに言葉を尽くしてもこれは伝わらない。
だから今回の特別展に足を運んでみてください。