ネコじかけのBlog

うちの猫(シマ)とフィギュア、外猫の記録。
VOCALOID関連の話題、展示会のレポート。

カテゴリ:展示会・講演会 2014-2016

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ネコらしい・・・。 ネコハエトリ
 本当にラブリー(笑)
 (2009年5月9日撮影)

シンポジウム「クモの世界の楽しみ」
 2016.11.20
 13:00-15:30
 大阪市立自然史博物館 本館講堂
 大阪市東住吉区長居公園1-23

大阪自然史フェスティバル2016

(スケジュール)
 13:00 はじめに
 13:10 「クモ:身近な隣人の知られざる生態」
     馬場友希氏(国立研究開発法人農研機構 農業環境変動研究センター)
 14:00  休憩
 14:10 「あなたもハエトリを探したくなる!」 須黒達巳氏(慶應義塾幼稚舎)
 15:00 「クモをとりまく昆虫たち」 松本吏樹郎氏(大阪市立自然史博物館)

 その後、質疑応答など。

2016112015大阪自然史フェスティバル2016に行ってきました。3

 今回、ここに来た主目的がこのシンポジウムに出席することでした。

 12:40頃に講堂へ。結構人が集まってきた。
 近くに座っている人達がクモの標本をネタに話をしている。南米の毒グモのようだ。
 クモ同好会の人らしい。

 13:00になり、シンポジウム開始。
 司会の松本吏樹郎氏(大阪市立自然史博物館)があいさつ。ああ、やっぱりこの人Oさんに似てるなぁ。

 そしていよいよ本題へ。

「クモ:身近な隣人の知られざる生態」
 馬場友希氏の登壇。

 クモってどんな生き物か、クモの身体の特徴、象徴的とも言える網、オスメスの事、最後に人との関わりについての話を通じて、大概の人が知っているクモの知らない部分を紹介していく。

 造網性のクモからハエトリグモなどの徘徊性のクモが進化してきたということが意外だった。
 徘徊性のクモは網を作るのをやめたってことなんだな。

 クモの網の構造の多様性に驚く。
 よく思い浮かべる円形の網(円網)の他にも立体的な構造を持つ網があるがその形も多種多様。
 はしご網というガを捕まえるのに特化した構造や、獲物を捕らえるための粘球の代わりに細かい糸をくっつけ、静電気で獲物を吸引しているのではないかと言われているもの、はたまた粘球を付けた糸を振り回してガを取るものまでってもうこれは網じゃない。

 クモはオスが小さく、メスが大きいことが多い。
 オオジョロウグモでは体重差が約100倍あるそうだ。
 オスはメスに食われたりする。しかも交尾前に食われてしまうこともあるらしいのでそれは本当に犬死だ。
 後程の「クモになるとしたらどのクモがいいですか」と言う質問に「オスにはなりたくない」との返答を馬場氏がしているのは、まあ至極当然かと。

 クモは見た目から嫌われていることが多いけど、実際は害虫を食べてくれる存在である。そういうところも見てやらないといけないなと感じる。

 休憩後、次の講演に。

「あなたもハエトリを探したくなる!」
 須黒達巳氏の登壇。

 クモの中でもビジュアル的にも受け入れられやすいハエトリについての紹介。
 ハエトリグモの特徴、代表的なものの紹介から、ハエトリグモの見つけ方や演者本人の日本のハエトリグモ全種制覇や新種発見にまつわるエピソードの話など、ハエトリグモを愛してやまない感がビンビン伝わってくる講演だった。

 確かにハエトリグモはビジュアル的にとてもかわいらしいと思う。
 この記事の冒頭の写真は以前私が撮影したものだが、どう見てもかわいいだろ。

 ハエトリグモは他のクモと違って、目がとてもいい。
 PCのディスプレイに留まっていて、マウスカーソルの矢印を獲物と勘違いして追いかけたりするのもおちゃめ。

 ハエトリグモは家の中や身近なところにもたくさんいるので、とても見つけやすい。
 代表的なものが、屋内ではアダンソンハエトリ、チャスジハエトリ、屋外ではネコハエトリ、アリグモなど。
 アダンソンハエトリは世界中にい過ぎてどこが原産地かわからないというのが面白い。

 日本のハエトリグモ全種制覇への道や新種を見つけるためのフィールドワークについての話はとても面白かった。
 いや、おれだったら挫けてるよな、これは。
 何度も現地に赴いてようやく発見できたとか言うのを聴くと本当に根気のいる作業なんだなと思う。

 最後に「クモをとりまく昆虫たち」松本吏樹郎氏の登壇。

 クモは主に昆虫を食べる捕食者としての存在であるが、そのクモを食用として利用する昆虫がいるという話。
 クモの卵を狙うもの、クモ本体を狙うもの。

 クモを麻痺させてそこに卵を産み付けて幼虫のエサにする狩りバチ、クモに寄生して最終的には食い殺してしまうヒメバチの話。

 ■自然史オープンセミナー(8月)「クモヒメバチの自然史」@大阪市立自然史博物館 に行ってきました。(2012.8.18)でも聴いた話だけれども、クモをコントロールして自分の都合の良いような網を作らせる幼虫とか本当に上手くできているなと感じる。

 講演が終わり、講演者への質疑応答。
 鋭い質問や将来有望な子供からの質問があり、クモ業界も捨てたもんじゃないなと。

 講演を聴き終わってまず思ったことは、この人たちはほんまクモが好きなんやなあと思うこと。
 ここで聴いている人たちもそうだと思う。
 この情熱はどこからくるのかと。
 特に研究者として将来有望な子供もいて頼もしい。

 外に出てクモ探しに行こうか。
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2016112013大阪自然史フェスティバル2016に行ってきました。1

大阪自然史フェスティバル2016
 2016.11.19-2016.11.20
 9:30-16:30 入館は16:00まで
 大阪市立自然史博物館
 大阪市東住吉区長居公園1-23

 大阪自然史フェスティバル

 今日は「大阪自然史フェスティバル2016」へ行ってきました。
 会場の大阪市立自然史博物館は長居公園内にあります。
 この公園も久し振り。確か下記のセミナーや展示会以来だ。
 ■自然史オープンセミナー(8月)「クモヒメバチの自然史」@大阪市立自然史博物館 に行ってきました。(2012.8.18)
 ■のぞいてみよう ハチの世界@大阪市立自然史博物館 に行ってきました。(2012.8.18)

 行くところは同じだな。

2016112014大阪自然史フェスティバル2016に行ってきました。2
 大阪市立自然史博物館の外観。
 おお、こんなんだった。入口にクジラの骨が釣り下がってるんだった。
 一部、人の顔とかはぼかしております。

 入口や建物の中には自然関連の団体のブースがあり、自分たちのやってきたことを展示したり、グッズを販売したりしています。
 鳥の観察に適した双眼鏡やレンズなどの展示、動物の骨を3Dプリンタで出力しているブース、生き物をモチーフとした絵画やアクセサリーの販売、はたまた子供たちが作った釣りゲームなど、確かに「文化祭」と言うのがピッタリの催し。

 実は、大きな目的がありまして、というかこれ以外はあまりチェックしていなかったので、どのような団体が出展されているかはあまり知らないで来てしまいました。

 その目的と言うのがこれ。
2016112015大阪自然史フェスティバル2016に行ってきました。3

 というわけで、記事を変えてこの講演について書きます。

 ■シンポジウム「クモの世界の楽しみ」@大阪市立自然史博物館 に行ってきました。
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2016050104第24回SPring-8/SACLA施設公開。1
 正門のところにある看板。

第24回SPring-8/SACLA施設公開
 2016.5.1
 9:30-16:30 15:30受付終了
 予約不要・入場無料
 大型放射光施設SPring-8
 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1

 第24回SPring-8/SACLA施設公開
 公開される施設
  大型放射光施設SPring-8
  X線自由電子レーザー施設SACLA
  兵庫県立大学ニュースバル放射光施設

 ※記述に間違ってるところがあるかも知れません。それは私の勘違いや理解不足からなるものです。
  詳細は公式サイトなどを参照してください。

(イントロ)
 この時(2016.4.24)には見に行こうとは思ってなかったんですよ。
 同じ兵庫県とは言え、ほぼ東西両端の位置なんで。しかも山の中だし。
 でも、これを見て・・・

2016050105第24回SPring-8/SACLA施設公開。2
 未来光子 播磨サクラ。うまく作ってあるんですよ。

 勢いでSPring-8やSACLAのことを調べてたら何か行きたくなってきた。
 もともとこういう技術の粋を集めた施設、しかも巨大ってのは好きだしね。

 この時・・・
そんでもって「未来光子 播磨サクラ」と言う公式キャラクターもいる。こんな感じが好きな人もいるよね。
 って他人事のように書きましたけど、こんな感じが好きなのはおれでした。
 いやあ、公式キャラクターって大事だね。そういうことにしておいてください。

 できるだけ早く行こうってことで、5時台に家を出ました。
 早朝起きるのはいつものことなんで問題ありません。現にシマに3時頃起こされましたから。
 すべて予定通り。

 8時前にバスが出ているJR相生駅へ到着。
 こんなことがなかったら、この駅には降り立たないだろうな。
 バス停のある駅の南側へ出るとバス待ちの人が。
 取り残されたらどうしようかと思ったけど、来たバスに無事乗れました。

 9:00頃にSACLA総合受付前へ。
 30分ほど待たなければならないなと思っていたら、9:10に開場してくれることになりました。
 ありがたい。

 ついにX線自由電子レーザー施設SACLAに足を踏み入れます。
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2016041601横田真希展@Maruzen Button Gallery へ行ってきました。
 毎年この時期に行われるジュエリー作家さんの個展。
 最終日になってしまいましたが行ってきました。

 新作品は透かしを駆使して作ったものがある。
 石の下に隠れているものもあるが、透かしがメインに見えているものが素晴らしい。
 真ん中の透明の石の周りを角度を変えながら周回している軌道を可視化したかのようなデザイン。
 左右対称に見えてそうじゃないところが絶妙のデザイン構成。

 DMの作品のイメージが気になった。
 素粒子物理学のイメージがある。
 原子間に伝わる力を可視化したような部分もあり、また電気のスパークを描いたような部分もある。
 本人曰く、あまり考えてなくて「詩的」と表現。正反対の概念が出てくるとは。
 こう言うのは面白い。

 次の展示での新作期待しております。
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琳派400年記念 新鋭選抜展−琳派FOREVER−
 2016.1.30-2016.2.14 月休
 10:00-18:00 10:00-19:30 金 入場30分前まで
 一般500円
 京都文化博物館
 京都市中京区三条高倉

 宮田彩加さんが出展されているので見に行く。
 今回の彼女の作品はあの平面を飛び越えた作品の流れを汲むものだった。
 壁には川の流れ、そこから地面に伸びる糸がつながる先に様々な動植物達。

 一つ機械のトラブルで見られないものがあったのは残念。
 しかも、センサーに手をかざせば画面が変わるとか言うもので、手をかざしても何も起こらないからおかしいなと思ったらスタッフからそう言われた。
 トラブルで動かないならそう書いておいて欲しかった。何度も手かざししてバカらしいじゃないか。

 山本太郎さんの作品、仮面ライダーと勇者ライディーンが風神雷神図屏風になってる作品のタイトルが「風神ライディーン図屏風」だって。
 仮面ライダーがなぜいるのかはよくわからんが、ライディーンを入れたのは雷神とライディーンを掛けたかったから?

(20160419追記)
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2015120512「祝祭の街 明・暗・素」展in京都。10

『安倍𠮷俊デビュー20周年記念自選画展「祝祭の街 明・暗・素」』 in 京都
 2015.11.25-2015.12.6 11:00-19:00
 四条寺町ギャラリーExaART(えくさあーと)
 京都市下京区寺町通四条下る貞安前之町594 岡本鏡店ビル 505号

 写真撮影OKとのことなので、撮影させていただきました。

2015120503「祝祭の街 明・暗・素」展in京都。1
 「灰羽連盟」のラッカの絵を見て、アニメ冒頭のラッカが落下してくるところとか思い出したり・・・

2015120504「祝祭の街 明・暗・素」展in京都。2
 「NieA_7」のニアとまゆ子の絵を見て、初めて「NieA_7」をサンテレビで見た時の衝撃を思い出したり。
 ありがとうサンテレビ。

 東京で開催されていた安倍さんデビュー20周年展が京都でも開催されるのを知ったのは昨日12月4日のこと。開催期間中に見つけることができたのは幸いだった。
 久々に京都。初動の遅れからギャラリー到着は18:00過ぎ。
 ギャラリーは初見、それほど広くはない。3年前にオープンしたそうな。
 作品数は10数点、私が鑑賞中に鑑賞者は多くて5人で、じっくり40分ほど鑑賞できた。

 安倍さんの作品で見たことがあるのは「NieA_7」、「灰羽連盟」、「リューシカ・リューシカ」。
 特に「灰羽連盟」は思い入れのある作品。

 初見の時は正直言ってそれほど好きな絵柄でもなかったけど、見ていくたびに何か心にじわじわ滲みてくるような感覚を覚えていた。今回の鑑賞中もその感覚が蘇った。
 どこかの古い西洋の街を思わせる街の絵を見て、安倍さんの作品の奥底に流れている世界観と言うか雰囲気と言うか、そんなものが感じ取れたような気がする。

 続いてギャラリー内の様子の写真。
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2015102501フェルメールとレンブラント展@京都市美術館


フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち ‐世界劇場の女性‐@京都市美術館
 2015.10.24-2016.1.5 月休(祝、1/4は開館)、12/28-1/1休
 9:00-17:00 入場16:30まで
 大人1500円
 京都市美術館
 京都市左京区岡崎円勝寺町124

 17世紀、オランダ絵画の黄金時代の作品を見る展示会。
 以前何らかの事情で中止になった展示会が仕切り直しで開催された展示会かな?

 11:00頃に美術館に到着。人は少ない。日曜日か?と言うくらい。
 会期の始めってこんなものなんかな。

 気になった作品についてコメントしてみる。

 ヨハネス・フェルメール「水差しを持つ女」
 何だろう、ちょっと訴えかけるものが少ないと言うか何と言うか。
 女性の衣装がシンプルで目立たないからか。
 何かもやもやする。
 今回の展示会の最大の目的、であったはずだけど、周りの大きな作品に惑わされたのか作品の前を通り過ぎてしまうと言う失態。

 ヤン・ステーン「恋の病」
 固い表情の女性の脈を取る怪しげな男性、男性はヤブ医者だと言う。
 このペテン師はもっともらしい顔で隣の男性に「これは恋煩いですな」とでも言ってるのだろうか。
 目立たないけど入り口に交尾する犬を配置してこの絵のテーマをプンプン臭わせているのがおかしい。

 ヤン・ステーン「女将と戯れる老人とバックギャモンに興じるふたりの男のいる酒場の室内、通称「二種類の遊び」」
 ゲームに興じるおっさん達とギャラリー達や女将にちょっかいかけてる老いぼれはともかく、その奥にいるどちらにも与しない陰の薄いおっさんは何を意味しているのか。
 この人の存在意義が気になってたまらない。

 ホットフリート・スハンケン「さまざまな嗜好」
 手前のタバコを吹かしている男性と奥の男女。言い換えれば、ぼっちとリア充。
 タバコ吸ってる男は奥のカップルに毒付いているよね、このひしゃげた顔つきは。
 まあ、その気持ちはわかる。

 サミュエル・ファン・ホーホストラーテン「貧血症の女」
 青白い顔色の女性、いかにも不健康そうな顔色。
 足元に座っている猫に真っ先に目が行ったのはナイショ。

 あくまでも私の個人的な感想だけど、全体的に見て印象に残りにくいイメージの展示会だった。
 ただ単に自分の好みと合致しなかったというだけだと思うけど。
 どうしても先に開催されたルーブル美術館展と比較してしまうと言うのもあるかな。
 「世界劇場の女性」ってなんだろう。どうも違和感を覚える。
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2015081604ルーヴル美術館展@京都市美術館 へ行ってきました。

ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
 2015.6.16-2015.9.27 月休(7/20,9/21祝は開館)
 9:00-17:00
 9:00-20:00 6/19,24,25,26,9/19,20
 入場30分前まで
 大人1600円
 京都市美術館 本館北1F
 京都市左京区岡崎円勝寺町124

 古代の陶器や墓碑などに描かれたものから19世紀位の絵画まで、ルーヴル美術館所蔵の作品の中でも日常の暮らしを表現した「風俗画」でまとめられた展覧会。
 この風俗画ってのはかなり面白くて、当時の暮らしを窺い知れるだけではなく、その絵の中に当時の教訓などが込められているところが魅力。

 目を惹いた作品を紹介。

ジョセフ=マリー・ヴィアン「アモルを売る女」
 カゴに入った羽の生えた赤ちゃんが3人、そのうちの1人を向かいの椅子に腰掛けた女性に差し出している。
 アモルとは何?と思ったけど、タイトルの英訳にCupid(キューピッド)とあった。
 キューピッドって売り物?
 キューピッドを差し出す女性が蝶を持つように羽根をつまんでいるのを見て、キューピッドってそう持つんだなあと。
 まあ永遠に使うことはないけど。

マリヌス・ファン・レイメルスウァーレに基づく「徴税吏たち」
 男性の顔の歪みが徴税吏が市民に疎んじられていたのを示しているようで、ちょっと気の毒になった。
 特に向かって右側の男性の顔の歪みが酷い。
 まあ、税金の意味が今とは違うだろうから印象も変わって当然だろうけど。

クエンティン・マティス「両替商とその妻」
 金を天秤にかける旦那、それを横で見ている妻。
 キリスト教の影響だろうけどお金を扱うことに対して欲に走るなと言うこと、そして職業の存在意義である金を儲けること、これら相反することを求めなければならないのは大変だと思う。

ヘリット・ファン・ホントホルスト「抜歯屋」
 偽物の医者、抜歯を見る人の持っている物をくすねるスリ、この場面で様々なドラマが示されているのが面白い。

ニコラ・レニエ「女占い師」
 先程のヘリット・ファン・ホントホルスト「抜歯屋」に通じるものがあるが、上流階級の女性を占うロマの仲間が女性から何かを盗もうとしているが、その占い師からものを取るスリがいる。上手くやったと思いきや自分もはめられているというのがまた面白い。

ヨハネス・フェルメール「天文学者」
 左の窓から差し込む淡い光、壁にかけられた絵、部屋にいる人物、フェルメール作品によく用いられる構図。
 淡い光に映った男性のその表情から学問に勤しむ真剣さが窺い知れる。
 この作品と対になる地理学者とモデルは同じ人だったっけ?
 この作品は1668年制作ということで、私が生まれるちょうど300年前になる。
 そう言えば、ヨハネス・フェルメールは42歳か43歳で亡くなっているから、私はもうとっくの昔にその歳を越えてしまってると思うと感慨深い。

ジャン=バティスト・グルーズ「割れた水瓶」
 純潔の喪失をテーマにした絵画。
 白い服をまとった少女、服は少し乱れて左の乳房が少しあらわになっている。
 右腕には割れた陶器の入れ物、腰辺りに服で花をくるんで持っているような。
 テーマがかなりストレートに描かれているのはよくわかる。
 少女の表情は言うほど虚ろだと思わないけど、これ以上露骨に示すと鑑賞し辛くなるか。
 瞳に少しある反射光、整った顔立ち。
 何だか抱きしめて慰めてあげたくなるような印象を受ける。
 愛おしいなあ、この娘は!
 少し離れて見ると瞳のハイライトが消えて表情も暗く感じる。このイメージの方がテーマ的にはいいのかな。

ヘンリー・シングルトン「ヴァンシュタイン伯爵、姉マティルデとリンドルフ男爵」
旧タイトル「二人のライバル」

 二人の男性と一人の女性、右にいる男性に女性が寄り添っている。
 以前のタイトルの方が目を惹くよな。
 この女性が姉(身内)かそうでないかで、この絵の見方がころっと変わる。
 この女性が姉であることがわかってタイトルを変えたのか、それとも邪な感情を呼び起こさないために変えたのか。
 多分、姉だとわかったんだろうけど。

ルイ=レオポール・ポワイー「籠の鳥」、または「恋人たちと飛び立つ小鳥」
 椅子に座る男性、そのそばに立つ女性。
 テーブル?の上には一羽の鳥がいる。
 これもタイトルで絵の解釈が変わる。
 「籠の鳥」と言われると、この女性はこの鳥のように男性に囲われて逃げられないようなイメージを想起させる。
 「恋人たち・・・」と言われるとこの二人が鳥が飛び立つように幸せに向かって羽ばたいていくイメージ。

ジャン=バティスト・イレール「幸福な囚われ人」
 全裸の女性が豪華なベッドに寝転がり、寛いでいる。何だか退屈そうに見える。
 その傍には茶白の小型犬。
 女性は上流階級の愛人なのかな。
 何不自由ない暮らしだけど、ここ以外に行くことができない。
 この女性はここにいる小型犬と同じ立場であるということを示しているんだろうな。

ジャン・シメオン・シャルダン「猿の画家」
 アレクサンドル=ガブリエル・ドゥカン「猿の画家」、または 「アトリエの情景」
 画家を猿に見たてて描いているのは、独自性を失った画家たちを猿真似だと皮肉ったもの。
 決して動物園で時々見られるような動物に絵を描かせてみたというものではない。

オクターヴ・タサエール「アトリエの情景」
 暖炉のそばでナイフを使って芋?の皮を剥く男性。暖炉には火にかけられた鍋。
 食事を作っている最中。
 白い長毛猫がその横で暖を採っている。
 男性の疲れた虚ろな顔。
 家族はこの猫だけなんだろう。
 絵を描いているシーンではないところは画家の画家でないところを見せたかったのかなとも思う。
 夢を持って画家への道を歩んでみたものの、貧しく寂しい生活、でも絵を諦めきれない。そんな画家を思い浮かべる。
 やがて画家は極貧の中力尽き、この猫が画家から受け取った手紙を故郷の恋人へ届けに走るんだよ、きっと。
 って、あれは黒猫やったわ。

 やっぱり風俗画って面白い。
 それを再確認した展覧会でした。
 絵から何かを紐解くのが好きな人とかは面白んじゃないかな。
 ああ、そんで名探偵コナンが音声ガイド解説にいたんだな、って主催に読売テレビが入ってるからだけか。

 前売券を購入して行ったのですが、当日券の方がよかったかなぁ・・・。
 前売券の絵はクエンティン・マティス「両替商とその妻」、当日券の絵はやはりヨハネス・フェルメール「天文学者」だったので。

 2015053001猫にアートはわからぬ。
(参考)ルーヴル美術館展の前売券。(■猫にアートはわからぬ。(2015.5.30)より)

 私は今日8月16日の午後2時過ぎに美術館に到着したのですが、その時は待ち行列もなく、館内の人混みも十分許容範囲。メインのヨハネス・フェルメール「天文学者」もすんなり見ることができました。
 そして、閉館時間の30分前になると人がほとんどいなくなり、展示を最初から間近に見て回れたのでちょっとお得感。

 なお、図録は購入できず、内容も見ることができなかったので、絵の解釈は見当違いのことを言っているかも知れません。その点はご容赦を。
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横田真希展
 2014.4.7-2014.4.12
 11:00-19:00 最終日17:00まで
 Maruzen Button Gallery
 大阪市中央区島町1-1-2 丸善ボタンビル1F

 フリントと言う石を使ったアクセサリーが今回の目玉。
 石の形や柄を生かした彫金は健在。

 六角柱の水晶?に六角形を組み合わせた彫金を施した作品、こういうのがいい。

 石にも面白いものが。
 透明の石の中に不透明部分が二つの平面として入っている。
 外の彫金もそれをなぞらえて作られている。
 このなぞらえ方に深く同意。

 以前から展示されている作品に新しい視点を見出した。
 メノウらしい石を使った作品。
 石を取り囲む彫金がリボンのような形状で、これがタンパク質立体構造を示したリボン図のように見える。
 この作品が何かの酵素の立体構造を示しているように見える。
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ART stream 2014
 2014.11.14-2014.11.16
 10:00-20:00 最終日17:00まで
 大丸心斎橋店北館14階イベントホール&大丸心斎橋劇場
 大阪市中央区心斎橋筋1-7-1

 目を惹いたのが、NY氏の油彩画。
 ベールに包まれたワイヤーフレームのような、溶けてしまった構造物のような、気を発する何かのような、ぴったりした例えが見つからないけど、確実に心を捉える図。
 曖昧なようで確実性のあるような、何とももどかしい感じを受ける。
 作品を見て、頭の奥底から浮かんでくるのが三次元座標に図示されたグラフ。
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武村和紀−構造から生まれるカタチ−
 2014.10.14-2014.10.26 10/20月休
 13:00-19:00
 ART SPACE 感
 京都市北区紫竹東高縄町69

 陶器作品。
 おちょこなどの普通の陶器もあったが、注目すべきはヒツジやヤギのでっかい角のような作品、そして堅牢な梁の構造のような構造物作品。
 DMにあった細かい構造を作り出した作品は実物も圧巻で、見ていて惚れ惚れする。
 今回のギャラリー巡りで最高の掘出し物。
 やっぱり私はこのような構造物が好きなんだなと感じる。
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宮田彩加個展「生命力の形態と対称性」
 2014.10.14-2014.10.19
 12:00-19:00 最終日18:00まで
 ギャラリー恵風 1F
 京都市左京区丸太町通東大路東入ル南側聖護院山王町21-3

 動物や植物をモチーフとした刺繍作品。
 左右対称の形状と、中央部にエラーからくる糸の乱れをアクセントとする。
 1点だけあった点対称の鶏の作品が糸の垂れ下がりが鶏のしっぽを思い起こさせるような感じで好印象。
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「残心」木野智史
 2014.10.10-2014.10.25 月火休
 10:00-18:30
 現代美術 艸居
 京都市東山区元町381-2

 ギャラリー白で見たことのある作家さんの作品。
 「颪」(おろし)というタイトルのついた作品群。風が吹いているイメージを想起させる形状。
 釉薬での着色も青から緑にかけてのさわやかな風をイメージしたもの。
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ケイゾク・スギイケイゾウ
 2014.9.16-2014.9.28 9/22月休
 11:00-18:00
 GALLERY北野坂
 神戸市中央区山本通1-7-17 WALLAVENUE 2,3,4F

 彫金ジュエリー作家さんの展示会。
 男性の作家さん。
 男性だからだろうか、幾何学的な構造が目に付く。
 ジュエリーの他にステンレスワイヤーを立方体のフレームに組み、それを金属板の上に頂点を軸に立てて並べる作品が美しい。
 ライティングの具合で金属板にフレームの影が写るのがまた趣きがある。
 部屋にワイヤーを張り、部屋をあたかも三次元座標軸で区分したような作品もあった。これも面白い。

 立方体が並んだ作品を写真撮影させてもらったが、魅力を伝えるには技術が足りない。
 自分が見て魅力的に感じたものを撮影できないもどかしさ。
 後で見返すと一番感じのいい写真は全体を斜めから撮ったオーソドックスなアングルのものだった。

 こう言うのを見ると、立体構造を作りたくなる。
 後始末することになるので作ろうとはなかなか思えないけど。
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KUAD graduates under 30 selected
 2014.7.30-2014.8.7
 11:00-18:00
 ギャルリ・オーブ
 京都市左京区北白川瓜生山2-116 京都造形芸術大学 人間館1F

 宮田彩加さん出展、アーティストトークに参加されるようなので見に行く。
 作品自体はすでに鑑賞済みのもの。例の立体の作品も展示されていた。
 KUADオーディエンス賞を受賞。
 来場者の投票によって選ばれる賞で、300票の中の30票をとったそうな。
 2位の人の倍弱の票数で、ダントツと言っていい。
 ちなみに出展者は31人。
 あの造形は見ごたえあると思う。
 注目している作家さんの作品が来場者の投票で賞をとったっていうのはうれしいものだ。

 川上幸子さんの作品が結構ツボ。
 あの造形は惹かれるわ。

KUAD graduates under 30 selected アーティスト・トーク「5W1H アーティストとして生きていく」
 2014.8.2
 16:00-17:30
 ギャルリ・オーブ
 京都市左京区北白川瓜生山2-116 京都造形芸術大学 人間館1F

 池田武史、金 光男、冬木遼太郎、宮田彩加、吉田沙織 + 藤本由紀夫、大庭大介[本学教員]

 アーティストさんたちの力の入れる方向、力を抜く方向の絶妙なさじ加減を感じる。
 それがたまたまうまくいっているのか、うまくいくようにしているのか。
 やりたいことをやっていたら、今に至るという意見が多かったけど、それを貫く意志の強さは要ると思う。
 引っ込んでいてはだめだ。
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ブログネタ
ギャラリー散策 に参加中!
西野康造展「Space Memory」
 2014.6.7-2014.6.28 日月祝休
 11:00-19:00 火-金 11:00-17:00 土
 アートコートギャラリー
 大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F

 緻密に計算された構造物の美しさが際立つ展示。
 アートコートギャラリーの形状に合った曲線を描くあの作品を目で辿りながら歩くのが楽しい。
 1/10サイズの作品で全体を把握できるのも面白い。
 見に来てよかった。
 作家さんがいらしたが、関係者が多そうだったので遠慮してしまった。
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