ネコじかけのBlog

うちの猫(シマ)とフィギュア、外猫の記録。
VOCALOID関連の話題、展示会のレポート。

カテゴリ:展示会・講演会 2012

ブログネタ
ギャラリー散策 に参加中!
マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝@神戸市立博物館 3回目

<マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝>
 2012.9.29-2013.1.6 月休(10.8、12.24開館、2013 1.1休館)
 10:00-17:30 10:00-19:00 土日 入場30分前まで
 神戸市立博物館
 神戸市中央区京町24

 また見にきました。今回で最後。
 今回は他の作品についても書きたいと思う。

第1章 美術館の歴史
 ヨーハン・マウリッツ胸像  バルトロメウス・エッヘルスによる原作の模刻
 甲冑の肩の部分のデザインが象の頭部。
 所々に象のモチーフが使われている。
 象に強さを象徴させているのだろうか。

第2章 風景画
 牧場の牛  バウルス・ボッテル
 牛の肌の表現が絶妙。
 小品ながら、牛の肌の毛の質感を感じることができるのはさすが。

 イタリア風の風景 ヤン・ボト
 この題名をつけた絵画は現在描かれたなら、イメージが全く変わっていただろうと推測される。
 イタリアと聞いて、誰がこんな風景を想像させるのかと。
 人のイメージは時代と共に変わっていく、それを認識させてくれる。

第3章 歴史画(物語画)
 スザンナ レンブラント・ファン・レイン
 女性の驚きの表情に注視。
 のぞきして脅すとは長老やり方が汚いな。

第4章 肖像画と「トローニー」
 真珠の耳飾りの少女 ヨハネス・フェルメール
 最前列で歩いて見る時、絵の表面が照明の光を反射してキラキラ光る。
 その輝きが絵を見えなくしてしまう時があり、残念な気分になることがあるが、この絵の場合、彼女の周りの黒い部分が星のように輝き、花を添える感じに見える。

 絵や照明の配置に影響されていると推測されるが、フェルメールは光の画家だと言われることを考慮して、この展示でも光を操って絵の魅力を引き出しているのかと考えてみると面白い。

 絵までの距離については以前書いたが、照明の影響か、離れると顔色が青かぶりする。
 もっと近くに来て見つめないとダメなんだ。
 見るたびに雰囲気が変わるような気がしている。

 笑う少年 フランス・ハルス
 勢いのある筆づかいが少年のイキイキした様子をうまく表現している。
 悪ガキっぽく映る。
 隣には写実的に描いた肖像画。
 普通はこの画風なんだな。

 ミハエル・オフォヴィウスの肖像 ペーテル・パウル・ルーベンス
 何度見ても元阪神の下柳投手のイメージが拭えない。
 そう言えば、今どこに?

第5章 静物画
 ヴァニタスの静物 ピーテル・クラースゾーン
 頭蓋骨の滑らかな表面、骨同士の嵌合部をしっかり描いているところは写実的。
 こう言うところが見ていてホッとする。

第6章 風俗画
 牡蠣を食べる娘 ヤン・ステーン
 こちらを見る娘のどこかしら後ろめたいような表情がうかがえる。
 それにしても牡蠣に塩は効くのか?

 ヴァイオリン弾き アードリアーン・ファン・オスターデ
 村の居酒屋の前の牧歌的な様子。
 牛の絵のあるポスターみたいなのは牛が行方不明になって探しているのだろうか。

 デルフトの中庭(パイプを吸う男とビールの飲む女のいる中庭) ピーテル・デ・ホーホ
 出入口の前のレンガの道は人がたくさん通るから凹んでいる所の描写が忠実。

 親に倣って子も歌う ヤン・ステーン
 パイプをガキに吸わせているおっさんは今もいるだろう酒をガキに勧めるおっさんとイメージがダブる。

 前日、ホキ美術館名品展を見ていたからか、絵の細部をじっくり見たいと言う衝動に駆られ、今回はまんべんなく見て回った。
 今更になって他の絵をじっくり見たと言う実感が持てた気がしている。
 博物館内にどこかの新聞記事か「耳飾り」だけじゃない、と書かれてある紙が掲示されていたが、3回通ってようやくそれがわかった。

 でも、やっぱり一番長く見ていたのはあの絵でした。
 今日は閉館時間まで滞在していたが、16時30分以降、ぐんと人が少なくなっているのに気がついた。
 まあ、入館時間の制限がこの時間だからと言う理由。
 ラスト30分はほとんど人がいない。
 直前でずっと止まって見ていても何も言われない。
 あー、この時間が狙い目だったんだね。
 てか、考えたらわかるか。

 じっくり見させていただきました。

 これ以降は冬休みにも入ることだし、終了間近なので、混雑するかな。

 マウリッツハイス美術館展オランダ・フランドル絵画の至宝(東京都美術館、神戸市立博物館)のレポート。
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ギャラリー散策 に参加中!
マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝@神戸市立博物館 2回目

<マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝>
 2012.9.29-2013.1.6 月休(10.8、12.24開館、2013 1.1休館)
 10:00-17:30 10:00-19:00 土日 入場30分前まで
 神戸市立博物館
 神戸市中央区京町24

 今月もやってきました、神戸市立博物館。
 もちろん目的は「真珠の耳飾りの少女」。

 とは言え、他の絵もちゃんと見てますよ。
 今回の展示で興味深いのが風俗画。
 絵の中に寓意や教訓を含ませた、それがわかればより楽しめる絵。

 以前、大阪市立美術館の「フェルメールとその時代展」でも展示のあったヤン=ステーンの絵画はとても面白い。
 今回「親に倣って、子も歌う」が展示されている。

 大きな絵で、それだけても見応えがあるが、子供を洗礼したからお祝いだとばかりに、どんちゃん騒ぎ。
 酒は飲むは、子供にタバコ吸わせてる?とか。
 こんな大人を見て子供は同じことをするんだよと言う、今でも通用する教訓が込められているそうだ。

 細かく見て行くと、女の人の足元には炭火の入った行火があったり、袋につながった楽器を吹く人がいたり、そ の当時にあるものがわかるのも面白い。

 そして、フェルメール「真珠の耳飾りの少女」。
 平日は15時頃が行列が少なくてオススメかも。
 行列あったらそこは諦める行列大嫌いの私ですが、ここはちゃんと並びます。
 並ばなくても、立ち止まって見ることができるところはありますが、少しの距離を縮めることは違いがあったりするのです。

 背後が真っ暗なので、じっと見つめていると浮かび上がってくる錯覚に陥ります。
 こちらを振り向いて、口が少し開いているのがいいのです。
 何かを語りかけてくるような気もしてきます。

 前も見てるからそんなに時間かけなくてもいいかなとも思っていたのですが、やっぱりじっくり時間をかけて見てしまいました。

 マウリッツハイス美術館展オランダ・フランドル絵画の至宝(東京都美術館、神戸市立博物館)のレポート。

(2016.4.15追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
横田真希展
 2012.11.21-2012.11.26
 11:00-18:00 最終日17:00まで
 芦屋ぎゃらりー藤
 兵庫県芦屋市月若町8-6

 今年春に初めて個展を見て、かなりツボにはまったジュエリー作家さんの個展。

 最初はなかなか作品にさわれなかった。
 さわっていいとはわかっているけれども、展示品には手を触れないと言うのが頭の中にこびりついていることがよくわかった。
 最初は恐る恐るさわり始めた。

 シルバーの構造が素晴らしいし、石とのマッチングも絶妙。
 石を活かす装飾。
 本当にうまいこと合わせるもんだと感心する。

 この作品は何度でも細かく観察してしまう。
 持ち上げて、表から裏から横から斜めからじっくり眺める。
 じっくり眺めても構造の造形の素晴らしさが消えることはなく、むしろどんどん魅力が増すとと言うか。

 見ているのが楽しい。

 球体の入れ子構造、多面体の組み合わせに模様が透かしでいれられているが、その透かしの細工が細かくて美しい。
 螺旋階段を模した作品の螺旋部と中央の石の組み合わせも素晴らしい。
 石の模様に連続するようにシルバーの透かしを作っている作品。
 石の形に連続するようにシルバーを接続している作品。
 どの作品を見ても素晴らしい。

 どのように作品を作っているかを説明するために、製作途中の作品を展示してみたり、製作に不可欠な糸のこを置いていた。
 糸のこののこぎりの細さも尋常じゃない。ぱっと見でギザギザが見えない。
 細かい作業をするにはこれほど細いものでなければならないんだなと。

 先日見つけた「Mathematical Art
 これに通じる構造美を感じる。
 そこが彼女の作品に惹かれる理由だと思う。

 ジュエリー以外の美術作品の話などで話をしているうちに気がつけば4時間も滞在してしまった。
 同じ陶芸作家さんの作品に関心を持っていた事がわかり、何だか嬉しかった。
 こういう話をできるようになったのも私自身色々な作品を見てきたからかなと感じる。

 次の展示が楽しみだ。

 11月26日(月)までやってます。
 ジュエリー好きな人におすすめ。

(20160416追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝@神戸市立博物館

<マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝>
 2012.9.29-2013.1.6 月休(10.8、12.24開館、2013 1.1休館)
 10:00-17:30 10:00-19:00 土日
 入場30分前まで
 神戸市立博物館
 神戸市中央区京町24

 東京で開催されていたマウリッツハイス美術館展が、ついに神戸にやってきた。
 ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」がついに神戸入りしたのだ。
 しかし、一度見ているからか、正直言って東京の時よりはエキサイトしていない気がする。

 そして今日10月24日、神戸に行く事にした。

 神戸で開催されているのだから、何度も足を運ぶことができる。
 だから、全ての展示をじっくり観ようと決めた。

 しかし、もちろんメインは「真珠の耳飾りの少女」

 当然のことながら、ここ神戸市立博物館でも別格の扱いだった。
 この絵一枚に一部屋用意され、東京都美術館でも見た、最前列で立ち止まらずに見る所と、少し後ろになるが止まって見ることができる所の2つに分けている。

 今回はちゃんと最初から展示を見て、この部屋までやってきた。

 まずは、少々後ろでも止まって見ることのできるエリアで眺めることにする。

 東京都美術館で見た時の感じがじわじわとわいてきた。
 やっぱりこの絵は素晴らしい。

 5メートル程離れた位置から見るときは向かって右斜め60度の角度から見るとしっくりくる感じ。
 しかし、近づくと正面に近くなる方がしっくり入ってくる気がする。
 まるで少女がここにいて、私を振り返りつつ視線を投げかけているかのような錯覚に陥る。

 向かって右斜め60度から接近し、正面へ向かうと言う動きを何度繰り返したか。

 ふと横を見ると、最前列で見ることのできる列が短くなっている。
 そう言えば向かって左からの接近は試みていないと気づき、それを実行してみる気になった。

 こちらからの接近もいいものだ。
 元々身体はこちらを向いているのだ。

 歩みを遅くはするものの、立ち止まったりはしない。
 あたかも惑星に接近して、そちらを見つつ、スイングバイするように離れる。

 先程のエリアより、ほんの1メートル程近いだけなのに、また顔の表情や雰囲気が変わってくる。

 列が短いことをいいことに数回列に並び直してスイングバイを繰り返した。

 この部屋にいる時間が博物館にいたかなりの時間を占めたに違いない。

 あらゆる方向から鑑賞するのもいいが、この絵の前に椅子を置き、座って少女と対話するように心ゆくまで鑑賞できたらいいなあ。

 マウリッツハイス美術館展オランダ・フランドル絵画の至宝(東京都美術館、神戸市立博物館)のレポート。

(2016.4.15追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
D/A 複合体 D/A1:標脅行×田中誠人
 2012.8.28-2012.9.2
 13:00-20:00 最終日18:00まで
 GALLERY 9 kyoto(閉廊)
 京都市中京区寺町通四条上ル東大文字町311-1 プリントQ 2F

 標脅行氏
 豚の目の水晶体を通してビデオ撮影した映像を時系列で展示。
 水晶体から水分がなくなっていき、白濁していくのが、映像の鮮明さが失われていくことでもよくわかる。

 豚の目から水晶体を摘出し、動画撮影のためにビデオカメラの前にセットする過程を撮った映像や、摘出に用いたメスや台、豚の目を購入した時の受領書も展示されていた。

 アートと言うより生物の実験のような感覚を受けた。
 こう言う面白いのを思いついてやってみると言う作家さんに脱帽。
 豚の目を購入した時のエピソードが面白かった。一つ150円と言う値段だが、一般では買えないとか、買うときに悪用しないと一筆書かされるとか。

 田中誠人氏
 幻灯機の周りに紙を貼ったついたてが螺旋状に配置され、一定のスピードで一定方向に回っている。
 幻灯機の中にはセミの死骸やセミの幼虫の抜け殻、貝殻などがぶら下げられている。

 それらが、光に照らされ、ついたてに映る。
 幻灯機からの距離を変えてあるので、映り方も異なる。
 ピントが合って、鮮明に映っているところもあれば、大きくぼやけて映るところもある。
 その距離感を感じさせるところが面白い。

(20160420追記)
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<のぞいてみよう ハチの世界>
 2012.7.28-2012.10.14 月休(休日の時は翌日、8/13開館)
 9:30-17:00 入場30分前まで
 入場料500円(8/31まで450円)
 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
 大阪市東住吉区長居公園1-23

 自然史オープンセミナー(8月)「クモヒメバチの自然史」の後に訪れました。

 ハチの生態がよくわかる特別展。
 ハチの化石から標本、生態の説明からハチをモチーフとしたグッズまで、かなり充実した展示で、閉館時刻までじっくり観覧させてもらった。

 ハチは知られているだけで世界で13万種類。

 ハチの進化がまた面白い。
 ハチのイメージといえばスズメバチやミツバチなどだが、これは後ほど出現したもの。
 元々は幼虫は植物を食べるハバチ、キバチ、その中から食性が変わり他の昆虫を幼虫の餌とするヤドリキバチが出現し、それがヤドリバチに分化。
 そのヤドリバチの中に寄主に針を刺して麻痺させ、産卵しやすくする種が現れ、それが有剣類と呼ばれるスズメバチなどに分化するという流れが見て取れる。

 ハチのくびれはヤドリバチになってからできたもの。産卵するときに産卵管を的確に寄主に近づけるために腹部を動きやすくするため。

 セミナーにもあったが、ヤドリバチの中には寄主を操るものがいる。
 クモヒメバチの幼虫が自分がやがてなる蛹を守るためにクモに普段とは違った網を張らせるのも紹介されていたが、ここで紹介されていたのはもうひとつあって、シャクガの幼虫に寄生するある種は蛹になってからも寄主を生かして、蛹をアリから守る番人の役目をさせる。寄主のシャクガの幼虫はその場から動けなくなっている。

 スズメバチに寄生するカギバラバチはまず葉に卵を産んで、それを食べるガの幼虫の中で孵化、そのガの幼虫をスズメバチが捕らえて、巣に持ち帰ることで巣に侵入、そこにいるスズメバチの幼虫に寄生するという遠回りの寄生方法をとる。

 その他にも様々なハチの生態を見ることができて、とても楽しかった、
 特に寄生バチの生態は興味深い事が多かった。

 夏休みの研究にでもするのだろうか、子供たちも多く訪れていた。
 標本を詳細にスケッチしている子供もいて驚いた。

 こういう展示は特に子供たちに見て欲しい。そして昆虫に興味を持ってもらい、さらなる研究の発展に寄与する人材が育っていって欲しいと感じる。

(20160418追記)
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自然史オープンセミナー(8月)「クモヒメバチの自然史」
 2012.8.18
 13:00-14:30
 大阪市立自然史博物館 集会室
 大阪市東住吉区長居公園1-23

 クモヒメバチと言う寄生バチの一種がある。
 メスは生きたクモに卵を産み付け、孵った幼虫はクモを生かしたまま体液を吸って成長し、最後は吸い尽くして殺してしまい、蛹になる。そして成虫になるというハチだそうな。

 狩りバチのように麻酔で眠らせて動けないようにしたものを幼虫の餌にするハチは以前から知っていて、見かけたこともあるのだが、この様なハチは認識していなかった。

 という訳で、面白そうなのでセミナーに行ってみた。

 時間を読み間違えて、20分ほど遅刻してしまったので冒頭の説明を聞くことができなかった。

 講師は大阪市立自然史博物館学芸員 松本吏樹郎さん

 ヒメバチを専門に研究されている方。
 関係ないけど知人のOさんによく似ていた。

 今知られているほとんどのクモヒメバチは巣を張るクモに寄生する。
 それはクモ自体も幼虫の食料として重要だが、巣も重要な要素になる。それは蛹になった時に巣の糸を敵や環境から守るために使用するから。

 クモヒメバチは特定のクモを狙って卵を産み付ける。
 巧みに寄主であるクモに近づき、襲いかかり、針で麻痺させて、卵を産み付ける。
 うまく網に引っかからずに、時には網に引っかかったふりをして、うまくクモを捕まえるところは面白い。
 今まで確認した中ではクモに捕まって食べられてしまった事例は見当たらないそうだ。

 同じクモに同じ種類のクモヒメバチの幼虫が複数寄生していることはない。
 それはクモに卵を産み付ける時にその場所に卵や幼虫が貼り付いているときは産卵管を擦りつけて落としてしまう。

 ただし、異なる種類の幼虫が複数寄生していることはある。
 例として、日本のある2つの種類のクモヒメバチが挙げられていた。
 その2種類は形状は類似していて、同じクモを寄主とする。
 産卵する場所が異なっているために、産卵時にこそぎ落とされることはないが、一方の成長が早く、先に蛹になってしまうためにもう一方は成長できない。
 しかしここがまた奇妙なところなのだが、成長の早い種類が完全に遅い種類を駆逐してしまうことはなく、むしろ逆なところ。

 幼虫が蛹になる時に寄主のクモが妙な行動をとるのが興味深い。
 通常作っているクモの巣とは明らかに異なる形の巣を作る。
 通常の網とは違って糸を何重にもして太くしたり、粘着のある糸を張らなくなったり、蛹を守るために有利な形状になる。
 寄主をどのように操作しているのかはまだはっきりとはわかっていない。

 まだ新種が出てくる可能性も十分あるし、寄主が特定されていない種もある。
 成虫が自然界でどれだけ生きるのかもはっきりわかっていない。

 とにかく、クモヒメバチについてはわからないことが多い。

 この後、のぞいてみよう ハチの世界 へ。

(20160418追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
トーマス・デマンド展@東京都現代美術館

<トーマス・デマンド展>
 2012.5.19-2012.7.8 月休
 10:00-18:00 入場は閉館30分前まで
 東京都現代美術館 企画展示室3F
 東京都江東区三好4-1-1

 紙で被写体になる場面を立体で作り出し、それを撮影するという面白そうな作品。
 とても精緻に作られているものの、紙であることがわかったりするのがまた面白い。

 「宇宙シミュレーター」は平面の質感をわざと殺して描かれているようなアクリル画に見える作品。
 元々の材質は金属だろうから、その質感の違いだろうか。

 「洞窟」は紙の彫刻と言うのがわかる作品。紙を重ねて、それを削って作られたことが実物でわかる。
 それがわかった上でもすごい存在感がある。

 「大統領室」シリーズはカーペットが細かく切った紙を置いているのだが、これがまたうまくカーペットを表現している。

 写真だけではなく映像作品もあった。
 映像はストップモーションアニメ。

 「パシフィック・サン」は大波に襲われた客船の内部を監視カメラが撮っていたものを再現したそうだ。
 テーブルや椅子、ストローやナプキンなどの物をすべて紙で作り、少し動かして撮影、また動かして撮影、を繰り返して作成。
 それだけを聞いても驚きだ。


 Thomas Demand's film "Pacific Sun" at Matthew Marks gallery


 パシフィック・サンの実際の映像。
(2019.3.27 動画2つ追加。)

 「雨」は雨が降ってきて、地面に水しぶきが飛んでいるのを表現した作品。これがまた面白い。作りものであることはわかるけど、一粒一粒の雨とそれが地面にあたった時にできる飛沫を表現しているところが面白い。
 この作品が置かれていた部屋は作品を壁に映し出す映写機が低い位置に置かれていて、人が通ると影が映るようにしてあった。
 観客の影も作品に取り込む面白い手法だと感じた。

 客も少なく、天井が高くて広々とし、明るかったせいか、とても落ち着いて見ることができた。
 美術館はこれくらいじゃないと落ち着いて見られないわな・・・。
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ベルリン国立美術館展〜学べるヨーロッパ美術の400年〜@国立西洋美術館

<ベルリン国立美術館展〜学べるヨーロッパ美術の400年〜>
 2012.6.13-2012.9.17 月休(7/16、8/13、9/17開館、7/17休館)
 9:30-17:30 9:30-20:00 金 入館30分前まで
 国立西洋美術館
 東京都台東区上野公園7-7

 ここにもフェルメール作品がやってきている。
 「真珠の首飾りの少女」日本初公開らしい。
 「真珠の耳飾りの少女」に再会した興奮も冷めないまま、国立西洋美術館へ。

 ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」
 左側に窓があって、右側に女性が立っていると言う構図はこの作品の他にも数点ある。

 首につけているネックレスについたリボンを両手でちょっと上げている少女、窓側の壁には鏡があり、それで見ているのだろう。
 その姿がとても可愛らしい。

 はしゃいでいるわけではないが、少し笑みを浮かべているのは、真珠を身に着けてウキウキしているのだろうか。
 壁が白くなにもないところが少女を引き立たせ、このシーンを印象深いものにしているのではないかと思う。


 ここはしっかり最初からと思いつつ、どうも入り込めない自分がいる。

 しかし、大理石の彫刻などの立体作品は惹かれるものがあった。
 特にジャン=アントワーヌ・ウードン「エビと魚のある静物」の中央にどんと置かれているエビや、その周りに置かれている魚の精緻な彫刻は見応えがあった。

 絵画あり彫刻あり素描ありで、副題の「学べるヨーロッパ美術の400年」と言うのがピッタリな展示。

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マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝@東京都美術館

<マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝>
 2012.6.30-2012.9.17 月休(7/2、7/16、9/17は開室、7/17火は閉室)
 9:30-17:30 9:30-20:00 金 入室は30分前まで
 東京都美術館 企画棟 企画展示室
 東京都台東区上野公園8-36

 2年前から楽しみに待っていた展覧会にようやく行く事ができた。
 神戸にも来るので、わざわざ東京まで行かなくてもいいといえばいいのだが、少しでも早く会っておきたかった。

 ヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」
 この作品に会うために、東京にやってきたと言っていい。
 12年前(2000年)に本屋でその姿を偶然見かけて、大阪市立美術館で会ってから以来の再会。
 (日蘭交流400周年記念特別展覧会 フェルメールとその時代(2000.4.4-2000.7.2))
 その時の作品名が「青いターバンの少女」だったせいで、「青いターバンの少女」と言われたほうがしっくり来る。

 真っ暗な背景に浮かび上がる少女。
 こちらを眺める瞳に目を離せず、少し開いた唇にドキッとして、耳に飾られる真珠や唇の光沢に魅せられる。
 頭に巻かれたターバンや衣服が欧風から離れ、異国感を与えてくれるところもこの少女の特別感を感じさせる要素だろうか。

 今までの想いも加味されているのだろうけれども、久し振りの再開の時には心の中からじわじわとわきあがってくるものがあった。
 見てゾクゾク来る作品と言うのはそう多くない。
 ゾクゾク来て、そしてずっと見ていたい気持ちにさせられる。

 周りは早くも人だかり。
 しかしその人だかりが気にならないくらいに見入っていた。

 でも、やっぱり誰もいない部屋で前に椅子でも置いて座りながら見ていたい。
 叶うことはないだろうけど、なんという贅沢な時間だろう。

 見た人からは「意外に小さい作品だね。」と言う意見が。
 これだけ宣伝されて、有名になっているからもっと大きな作品だと思われていたのだろう。
 12年前、最初に見たときは私もそう思った。
 でも、その大きさよりはるか大きな存在感があって、心に残る作品であることには間違いないと思う。

 その他の作品を一つ。

 ヤン・ステーン「親に倣って子も歌う」
 風俗画は以前から好みで、寓意や教訓を込められているところが面白い。
 その中でもヤン・ステーンは以前から注目していた。
 今回の作品も親のどんちゃん騒ぎを子供は見てますよ、って言うもの。
 これは今でも通用するテーマではある。

 この時の状況などを続きにて・・・。
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ギャラリー散策 に参加中!
絵画鑑賞。シマ
 魅力的な作品はどこにある?

neutral production展
 2012.6.16-2012.7.7 水木休
 14:00-19:00
 CAS
 大阪市浪速区元町1-2-25 A.I.R.1963 3F

 暗闇の中、発泡スチロールの小さい粒を空気で吹き上げ、それをライトで照らして粒の挙動を見ることができる展示。

 定期的に吹き上がる発泡スチロールの粒、それを照らす光線によって見える形が変わってくる。
 全体を照らすライトの時は、粒が噴水のように見える。
 スリットのように薄いライトがスライドする時は、粒の集合体の断面を見ることができる。
 そして、スリットを十字形にした時には粒の平面が十字に交わっているのが見える。

 これは3次元空間の平面を視覚化するものとして応用できそうだ。

 浮遊する粒を見ていると、結構高いところまで上がっているものもあったことが意外だった。

 そんな物理的なことはさておいても、光に照らされた粒の集合体は見ているだけできれいで、何だか心が安らぐ感じ。
 吹き上がった上の方の粒はまるでホタルのようにフワフワ舞うのも面白い。

 この発泡スチロールの小さい粒を見ていると、昔、兵庫県立美術館での体験型展示を思い出した。
 発泡スチロールの小さい粒が敷き詰められたエリアに作品が埋まってるもの。
 あれは面白かった。(2005.7.22 ■2005年度コレクション展供兵庫県立美術館 に行ってきました。

 neutral production展
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横田真希展
 2012.4.9-2012.4.14
 11:00-19:00 最終日17:00まで
 Maruzen Button Gallery
 大阪市中央区島町1-1-2 丸善ボタンビル1F

 アクセサリーの展示。
 まあ、アクセサリーとしては関心は全くないのだけれども、造形としてはとても興味をそそられる。
 この作風はとてもツボにはまった。

 最初に見た蝶などの昆虫のシルバーの彫金。どこかで見たと思ったら、ファーブルの机展(2012.3.6-2012.3.16 ギャラリーびー玉)で見たんだった。(■ギャラリー散策20120308。

 石と合わせた彫金が立体でそれがおしゃれ、というよりカッコいい。
 石の模様と合わせてベースの彫金も切り抜かれていたり、多面体のフレームを組み合わせていたり、とにかく多面体の美しさをうまく活用している。

 加工もとても細かく、輪切りのレモンの中のつぶつぶもくりぬいていたり、イトトンボを立体で作ってみたり。
 緻密な技術があってこそできる、見ていて飽きない作品。
 アクセサリーなので、手に取ってみてもOKとのこと。これって結構嬉しい。普通展示品には触れられないもんね。

 作家さんとも話ができ、有意義な時間を過ごすことができた。
 この日は最終日だったので、ぜひ見てくださいとは言えないのが残念。

 最終日で17:00までだったのだが、気がつけばオーバーしてしまっていた。
 搬出もあるのに、遅くまでいてしまって申し訳ない。

 今年の9月頃に芦屋で個展をするそうです。楽しみ。

(20160416追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
「Nyan hundred 2」DARU☆USAGI個展
 2012.2.23-2012.2.28
 12:00-19:00 最終日18:00まで
 雑貨と喫茶とギャラリーと ひなた
 大阪市中央区谷町6-6-10

 24日にも見に来たが、最終日だということで再び見に来た。
 最終日なので作家さんが来られるだろうという考えもあった。

 見に来ただけ、そして作家さんと話をチラッとして帰ろうと思っていたのだが・・・・。

ガラスの猫のオブジェ。
 ガラスの猫のオブジェ。

 先日見た時にもこれに惹かれていた。
 何か、こいつがオレを呼ぶような気がしてた。
 頭蓋骨を透かして見ることができる遊び心が気に入った。
 これも結構手が込んでいるそうです。

 作家のDARU☆USAGIさん、私が2年前くらいに行こうと思っていて結局行けなかった展示会に出されていた。
 ガラスのクモのオブジェ、生で見てみたい。
 次の展示会を楽しみに待つことにします。

(20160416追記)
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ブログネタ
ギャラリー散策 に参加中!
「Nyan hundred 2」DARU☆USAGI個展
 2012.2.23-2012.2.28
 12:00-19:00 最終日18:00まで
 雑貨と喫茶とギャラリーと ひなた
 大阪市中央区谷町6-6-10

 ガラスで作られたネコのオブジェが並ぶ。
 とても精巧で、またかわいく、ユーモアもあり、どれを取ってもうーんと唸ってしまう出来に驚く。
 ガラス工芸の手法については大雑把なことしかわからないが、これほど魅力的な作品を作る人ってどんな人なのか興味がある。

 今回の猫の作品の中で一番目を惹いたものは、透明の表面から中の頭蓋骨が透けて見えている、いわゆるスケルトンのオブジェ。ガラスの特性をうまく生かした作品だと感じる。

 後、以前に製作された作品の写真があって、それを眺めていたのだが、ハエトリグモをモチーフにした作品があった。これはすごい。かっこええわ。ハエトリグモ好きにはたまらん。

 後、噂のキャラメルクリームを手に入れました。
なんだかいいものが入ってる予感。
 なんだかいいものが入ってる予感。

 試食させてもらったのですが、めちゃうま。
 甘い中にちょっと苦味があり、それがいいアクセントになっている。
 店主のまきさん特製、いい仕事してます。

(20160416追記)
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ギャラリー散策 に参加中!
荒木高子展−心の深淵に迫る−@兵庫陶芸美術館

荒木高子展−心の深淵に迫る−
 2011.12.10-2012.2.26 月休
 10:00-18:00
 兵庫陶芸美術館
 兵庫県篠山市今田町上立杭4

 聖書シリーズが圧巻。
 「灰羽連盟」と言うアニメで出てきた「本の化石」、それを彷彿とさせるものだと感じて見に行こうと思ったのだが、想像したものよりもすごい作品だった。
 陶器でここまで表現できるものなのかと思わせるものだった。

 実際の作品をぜひ見てもらいたい。
 「砂の聖書」がまさしく「本の化石」、遺跡から出土されてもおかしくないような質感。
 また、ページの1枚1枚がリアルに表現された聖書をモチーフにした作品、本当にこれは陶器なのだろうかと感じさせる。
 その中でちょっと面白いと思ったのが「黄金のパン」と言う作品。
 2つに割ったパンをかたどった作品なのだが、その表面に聖書の文字が薄く印刷されているのが見える。
 「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉が浮かんでくる。

 作家曰く、やきものらしくないものを作りたかったとのことだったが、その通りの作品だった。
 またリスペクトできる作家が現れた。

 図録を見ていると、荒木高子氏が梅田に画廊を開いた時の話として、吉原治良氏の「具体」グループについて挙げているのを見つけた。
 昨日見に行った「今井祝雄“具体大学のころ”」の具体とはまさしくこの具体であり、こんな所でつながっていたとはとても面白いと感じた。
 こういう意外なつながりを見つけるのは面白い。

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第25回平櫛田中賞受賞記念特別展「SP0」 小谷元彦@井原市立田中美術館

 昨年から注目している作家 小谷元彦氏が特別展を開催するというので、行って来ました。
 本人が作品について語るアーティストトークも開催されるとのことで、どんな人なのか生で見ておきたかったというのもありました。

小谷元彦アーティストトーク
 2012.1.27
 10:00-11:00
 井原市民会館 鏡獅子の間
 井原市井原町311-1

 今回の「SP0」シリーズ、小谷氏の作品の芯である「ファントム」の裏返しの作品。
 「ファントム」は形はないが生きている、「SP0」は形はあるが生きていない。
 それは幽霊とゾンビとの対比になぞらえられる。

 話は「ファントム」の概念についての説明から、自分が惹きつけられるもの(クラシックバレエや仏像など)の話、そして作品群からの解説。

 興味深かったのが、今回出展されている「SP4:ザ・スペクタ−−全ての人の脳内で徘徊するもの」のエピソード。
 武者全身と馬の頭部は骨から復元して作られているのだが、武者の頭部の頭蓋骨は、最初は日本人のものを使っていたがなんだかしっくり来なかったようで、なぜかドイツ人のものを使うとしっくりきたとのこと。

 彼に作品を目の前にしながらのギャラリートークをしてもらいたくなった。
 その方が話しやすいだろうし。


冬季特別展 第25回平櫛田中賞受賞記念「SP0」小谷元彦
 2012.1.27-2012.3.20
 9:00-17:00
 1/27は10:30開館
 井原市立田中美術館
 井原市井原町315

 続いて、作品を見る。
 今回の展示はほぼすべて美術館で見たもの。
 今回セレクトされた作品は重厚感あるものだった。

 この中ではやはり「SP4:ザ・スペクタ−−全ての人の脳内で徘徊するもの」の存在感が際立つ。
 先ほどのトークで、この頭蓋骨がドイツ人のものだということを知って見ると、何となくそんな感じがしてくる。

 これを見ると思い出すのが、「ホロウ:全ての人の脳内を駆け抜けるもの」。
 この作品をもう一度じっくり見たい。
 私が小谷元彦氏に注目するきっかけの作品だからだ。

 今回は1室だけの展示で、作品数も少なかったのでちょっと残念。
 彼の魅力の一部しか表現されていないな。
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