栄光のオランダ・フランドル絵画展のチケット

栄光のオランダ・フランドル絵画展
 2004.7.17-2004.10.11 月休
 10:00-17:30 10:00-19:00 土日 入場30分前まで
 神戸市立博物館
 神戸市中央区京町24

 ついにこのときがやってきた!

 この絵画展に来た目的は、もちろん、フェルメール「画家のアトリエ」だが、その他にもルーベンスやレンブラントなどの絵もそろえられているので、興味ある絵を見つけることができたらそれもまた良しである。

 私が見た絵の中で、興味を覚えたものは、次の3作品だ。

 テオドール・ファン・テュルデン「聖母の前で忠誠を誓うネーデルラントの諸州」

 聖母マリアの前に4人の女性、天使?が持った傾けられつぼからは金貨がこぼれる。この4人の女性はネーデルラントの各州を擬人化したものだという。

 最近、OSを擬人化した絵を描いている人たちをネットで見かけるが、それと同じようなものか?

 キリスト教を信じていれば、繁栄がもたらされるであろうと言う意味が込められているらしい。

 ヤン・ステーン「農民の結婚式(騙された花婿)」

 ヤン・ステーンって、どこかできいたことがある人だと思ったら、以前、フェルメール「青いターバンの少女」を見に行ったとき、これと同じように庶民の暮らしの中のちょっと面白いことを描いてある絵があったことを思い出した。

 今回も面白い絵であった。

 結婚式でどんちゃん騒ぎをしている部屋が描かれている。結婚式のパーティに出席している数多くの人々の中、妻を上の部屋へ連れて行こうとする夫、それを案内するおばさん。

 なぜ、「騙された花婿」なんだろうと疑問に感じた。

 絵をよく見てみると、階段の上り口にいる若い男が指を二本立てた手を結婚式の招待客に掲げている。大体の人がこの男の指を眺め、にやけている。その二本指の手は夫の背後で示されていて、夫には見えていない。

 おれはこの夫婦がこれからおこなうことに関して、猥雑なにやけ顔を見せているだけかと思ったのだが、それ以上のものがあった。それを意味しているのがこの若い男の二本立てた指である。

 この二本立てた指は、この夫は「角のはえた夫」だと言っているそうな。その意味は、この夫は他の男に妻を寝取られていると言う意味らしい。
 そして、ここにいる結婚式の招待客はそのことをすべて知っている。知らないのは夫のみ・・・。

 この絵を見ていた小学4、5年生くらいの女の子が、「どうして「騙された花婿」なのか知りたい。」と母親に質問しているのをきいた。母親はガイドブックを見ていたが、これを説明したのだろうか。

 フェルメール「画家のアトリエ」

 最後の最後に1点だけ特別に展示されていました。ガードマンつきです。
 その部屋へ行く途中の廊下は、市松模様のタイル、部屋への入り口にはカーテンがかけられ、あたかも自分がこの絵の中に入ったかのような演出。この絵の説明が書かれた部屋にはこの作品の画家が描きかけているキャンバスも飾られている。

 この絵は、この美術展に行こうと決めてからネットや本などでかなりの回数見ていたけど、やはり本物は違う。

 窓辺に立つミューズに扮した女性、画家(フェルメール自身だと言われている)が椅子に腰掛け、彼女をキャンバスに描いている。

 なんか部屋の隅からその光景をこっそりのぞき見ているような感じ。モデルの女性の雰囲気がとてもやわらかくて初々しいような印象を受ける。とても魅力的な女の人だ。絵に描きたい気持ちもわかる。
 その魅力を表現できるフェルメールもすばらしい。

 フェルメールもこの絵を手放さなかったし、奥さんもこれが競売にかけられないように、母親に託したと言う。フェルメール自身も、奥さんもこの絵をこよなく愛していたのだ。

 残念なのが、この絵の両方の斜め上から照らされるライトがきついように思えたこと。近づいて絵を見ると、光の反射で見えない部分ができてしまう。

 もう一つ残念なことがあった。
 この絵が展示されていた部屋の隅に7、8人のガキが地べたに座ったり寝転んだりしてたむろしている。多分、夏休みの課題か何かで見に来て、ここで感想文を書くつもりらしい。しばらくして係員に注意されて去って行ったが、こんなところで座ったり寝転んだりするもんじゃないってことを教えるのが先決だろう。

 あと、外人が何人かかたまって見に来ていたが、これがよくしゃべるんだ。美術館などでは静かに鑑賞するというイメージがあるので、面食らった。
 日本人と外人のペアの会話が耳に入った。なにやら京阪神間の移動手段の話らしい。絵と関係ないやんけ。

 鑑賞時間は2時間ほど。とても充実した時間をすごすことができた。
 その後の食事で、一緒に行った友人と意見交換。これもまたよろし。

(2016.4.15追記)