いつもの神社へ向かった。

 おれは、いつもはネコがたむろしている参道の横道をそのまま行って、ネコの写真を撮るのだが、今日は裏から回ってみようと、参道を歩き始めた。
 すると、女の人3人が話しているのが見えた。そして、ふとそちらへ目を向けると、ぐったりしたネコが。

 暗渠の開口部に端がコンクリートに埋め込まれている太い鉄の棒でできた網がかけられているのだが、その網の目からネコの頭が出て、そして身体は暗渠の中で宙ぶらりん。
 つまり、網の鉄の棒に首を吊っているような体勢になっていたのだった。

 多分、暗渠の中から出ようとして、首まで出たのはいいが体勢がうまく取れずに引っかかってしまったのだろう。
 よく見ると、昨日、犬に吠えられても平然としていると紹介したネコじゃないか。

 しばらくネコはぐったりして動かなくなっているらしい。
 これをほっとけるわけがない。

 消防署に連絡を入れてあるらしいのだが、消防署の人が来るまで、何とかしなければならない。

 どうしようか考えていると、ネコが鳴いた。まだ生きている。
 まずはネコを支えなければ。首が吊られている状態だけは避けたい。
 おれは手が小さく、腕も細いほうなんだが、残念ながらこの網の目にはおれの手は入らなかった。

 見ると、鉄の棒の一本がコンクリートから外れかかっている。これを取れば、ネコはまだ出られないが、少なくともおれの手は入るし、ネコの身体を支えることができる。
 3人のうちの一人が軍手を貸してくれた。
 鉄の棒を持って、ぐっと引っ張る。いい具合に曲がってくれて、棒が抜けた。これでネコを支えることができる。

 おれがネコを持つと、ネコが動いて首が絞まらない体勢になった。とにかく、首は絞まらないだろう。変な体勢になったら、おれが支えればいい。

 その場に来たおじさんが、もともとは暗渠の中から来たのだから、反対に抜けることができるはずだと言う。そんなことはわかってるけど、どう入れる?
 おじさんは、油で滑りを良くして中に入れようと言う。

 暗渠の中に入ってもらってもいいなとは思ったので、まずはネコの首がはまっている鉄の棒を曲げて、大きくしようとした。
 おっちゃん、くぎ抜きを鉄の棒に引っ掛けて広げようとする。それは危ないって、ネコが傷ついたらどうするんだ。

 そうこうしているときに、ネコがおれに噛み付いた。まあ、目の前でそんなことされたら噛み付きもするわな。

 しばらくすると、やっと消防署の人が来てくれた。またでかい消防車で来るんだな。
 鉄の棒を切っていいかと、おれに聞いてくる。
 おれはここの人じゃないんだけどな・・・。

 神社の人に了解をもらって消防署の人が鉄の棒を切り、ネコの救出に成功。

 ネコはいい気なもんで、消防署員の足元で頭をかいていた。照れ?(笑)
 そしてその次に何をしたかというと、近くで気張っていた。それがまたなかなか出てこないんだな。
 ブツに砂をかけることもなく、ネコは去っていった。

 それから予定通り、裏からネコたちのいるところへ回って、ネコの撮影。
 かなり時間が経っているものと思っていたが、おれが通りかかってから15分過ぎだった。意外に経っていないもんだな。

大人じゃなかった・・・。

 それにしても、このネコ、大人じゃなかったわ。

 ほんま、無事でよかった。