いつものようにネコを探して、街中を歩いているときだった。

 ネコの鳴き声をきいてふと横を見ると、ちょっとした空き地に茶トラのネコがちょこんと座っている。思わず、そばに寄って写真を撮ろうとしたが、その奥に人がいることに気がついた。

 そこにはベンチが一つあり、その一端に携帯電話を耳に当てた若い女性が座っていた。ときおり、目の辺りにハンカチを持っていく。何か悲しい話でもしているのだろうか。

 見ると、ベンチのもう片方の端にネコが座っている。

 彼女の前にいるネコは不用意に他人を立ち入らせないように、そしてベンチのネコはそばで彼女を見守っているような。