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<生物多様性講演会「クワガタムシの魅力にせまる」>
2017.1.22
13:00-14:30
いたみホール6F中ホール
伊丹市宮ノ前1-1-3
講師:荒谷邦雄さん(九州大学大学院教授)
主催:伊丹市昆虫館、公益財団法人伊丹市文化振興財団、伊丹市
結構早口だけど聴きやすい。最初から最後までこの調子で話し続けてた。まさにマシンガントーク。
最初のプロフィールの話を聞いて、研究者って自分が思った道を行くためにあらゆる手を講じるんだなと感じる。これぞ研究者気質と言うかなんというか。
1.クワガタムシの系統進化。
クワガタムシ科の定義が「腹板が5枚」「触角の1節目と2節目の間が肘のように曲がっている」の二つだそうな、あのクワガタじゃないってことが意外。
クワガタムシはジュラ紀(約1億9960万年前から約1億4550万年前まで)からいるらしい。ゴキブリにはかなわないけど結構古くからいるんだな。
2.クワガタムシの系統生物地理学。
DNA解析の系統樹を使って地理的変動を読み解くことができるのは面白い。
クワガタムシの生息分布から大陸移動の影響を知ることができたり、遠く離れた地にいるにも拘わらず、DNAで見れば近い種がいるのはなぜかを考えると当時の地理的変動を推測できる。
クワガタムシの古いタイプと新しいタイプの可食腐朽材を考えると植物の進化によって古いタイプが新しいタイプに追われたのではないかと言う推測もできる。
3.クワガタムシの進化生物学。
オスが争う必要があるところではキバが発達。必要がない状況になれば小さくなる。
同じ種でも必要に応じてキバやその他のパーツの大きさが変わる。
天敵に食われることを考えれば大きければいいものでもなく、必要ないものは消えていくという進化の基本がここにも表れる。
4.クワガタムシの外来種問題。
困ること。
1)害虫になる。
2)在来種との競合。
幼虫は容易に移動できなくて食われてしまうことも。
3)寄生虫や病原菌の持ち込み。
4)在来種との交雑。
外国だけではなく、国内の移動も問題になる。
外来種問題の正しい理解と対応が必要。
ペットとして外国から輸入されたものを安易に逃がしてしまったりするのは厳禁。
終生飼うか、逃がすくらいなら標本に。
何かを研究している人はどこかしらぶっ飛んでるところがあるんだなと思うエピソードも楽しく、クワガタムシを通じて地理的変動を知ったり、生物の進化や生存戦略についての知識を深めることができたと感じる。
クワガタムシに限らず、その土地にいなかった生物をリリースすることはその土地の生物を駆逐してしまう可能性がある。そのようなことはしないと強く思った。
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