ブログネタ
ギャラリー散策 に参加中!
自然史オープンセミナー(8月)「クモヒメバチの自然史」
 2012.8.18
 13:00-14:30
 大阪市立自然史博物館 集会室
 大阪市東住吉区長居公園1-23

 クモヒメバチと言う寄生バチの一種がある。
 メスは生きたクモに卵を産み付け、孵った幼虫はクモを生かしたまま体液を吸って成長し、最後は吸い尽くして殺してしまい、蛹になる。そして成虫になるというハチだそうな。

 狩りバチのように麻酔で眠らせて動けないようにしたものを幼虫の餌にするハチは以前から知っていて、見かけたこともあるのだが、この様なハチは認識していなかった。

 という訳で、面白そうなのでセミナーに行ってみた。

 時間を読み間違えて、20分ほど遅刻してしまったので冒頭の説明を聞くことができなかった。

 講師は大阪市立自然史博物館学芸員 松本吏樹郎さん

 ヒメバチを専門に研究されている方。
 関係ないけど知人のOさんによく似ていた。

 今知られているほとんどのクモヒメバチは巣を張るクモに寄生する。
 それはクモ自体も幼虫の食料として重要だが、巣も重要な要素になる。それは蛹になった時に巣の糸を敵や環境から守るために使用するから。

 クモヒメバチは特定のクモを狙って卵を産み付ける。
 巧みに寄主であるクモに近づき、襲いかかり、針で麻痺させて、卵を産み付ける。
 うまく網に引っかからずに、時には網に引っかかったふりをして、うまくクモを捕まえるところは面白い。
 今まで確認した中ではクモに捕まって食べられてしまった事例は見当たらないそうだ。

 同じクモに同じ種類のクモヒメバチの幼虫が複数寄生していることはない。
 それはクモに卵を産み付ける時にその場所に卵や幼虫が貼り付いているときは産卵管を擦りつけて落としてしまう。

 ただし、異なる種類の幼虫が複数寄生していることはある。
 例として、日本のある2つの種類のクモヒメバチが挙げられていた。
 その2種類は形状は類似していて、同じクモを寄主とする。
 産卵する場所が異なっているために、産卵時にこそぎ落とされることはないが、一方の成長が早く、先に蛹になってしまうためにもう一方は成長できない。
 しかしここがまた奇妙なところなのだが、成長の早い種類が完全に遅い種類を駆逐してしまうことはなく、むしろ逆なところ。

 幼虫が蛹になる時に寄主のクモが妙な行動をとるのが興味深い。
 通常作っているクモの巣とは明らかに異なる形の巣を作る。
 通常の網とは違って糸を何重にもして太くしたり、粘着のある糸を張らなくなったり、蛹を守るために有利な形状になる。
 寄主をどのように操作しているのかはまだはっきりとはわかっていない。

 まだ新種が出てくる可能性も十分あるし、寄主が特定されていない種もある。
 成虫が自然界でどれだけ生きるのかもはっきりわかっていない。

 とにかく、クモヒメバチについてはわからないことが多い。

 この後、のぞいてみよう ハチの世界 へ。

(20160418追記)