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フェルメールからのラブレター展@京都市美術館

フェルメールからのラブレター展
 2011.6.25-2011.10.16 月休(祝は開館)
 9:00-17:00
 京都市美術館
 京都市左京区岡崎円勝寺町124

 ようやく見に行くことができた。

 実はもっと人がいるんじゃないかと危惧していたのだが、全くの杞憂。
 日曜日でもスムースに入場できて、拍子抜けしてしまった。
 ちなみに、公式サイトには待ち時間の目安が表示されています。

 事前に購入しておいたフェルメール3枚特別券の引換券を窓口で渡し、交換してもらった。

 美術館の学芸員さんの講演会があるとのことで、入り口で整理券を受け取る。
 入場して気がついた。講演会までの時間があまり無かったんだった。
 途中出場の手続きをとって、講演会場へ向かう。

<講演会「オランダ室内画-主人公は女性だが-」>
 2011.7.3
 14:00-15:30
 京都市美術館学芸課長 尾崎真人氏による講演。
 京都市美術館 講演室
 京都市左京区岡崎円勝寺町124

 オランダ室内画
  寓意がわかればより楽しめる。

 オランダはプロテスタントが大勢。
 カソリックは偶像崇拝のための宗教画が必要だが、聖書回帰のプロテスタントには必要ない。
 よって、宗教画から日常生活を描いた絵画へと変遷していく。

 静物画(象徴、教訓的ただし宗教より俗物的)
 +
 風俗画(ドイツ銅版画)
 ↓
 室内画(不道徳に対する警告、女性の美徳を示す絵画)

 17世紀には光と色の研究の成果である絵画も登場。→フェルメール

 フェルメールの絵画は、室内画(風俗画)から一歩進んでいる。

 絵の中にわかりやすい寓意が散りばめられていない。あまり物がない。
 しかしながら、寓意も込められている。

 「手紙を書く女」で言うと、画中画に楽器が描かれていることから、愛を示しており、耳飾りの真珠は真実を示すことから、書いている手紙はラブレターであると読み取れる。

 しかし、これらから読み取らなくても、彼女の表情を見ると、この手紙がラブレターであるということは一目でわかる。
 周囲の寓意を示す物から読み解かなくても、何を示しているかがわかる。

 風俗画のように説教がましくない。

 「手紙を書く女と召使い」には寓意以外に、時間の経過が込められている。

 テーブルの前にあるロウと握り潰された手紙によって、テーブルで手紙を書く前になにをしたかと言うことが示されている。

 しかし、これがどのような状況、感情で行われていたのかは解釈によって変わってくる。

 画中画の寓意は寛容さである。

 これらのヒントからどう考えるかは鑑賞者次第であり、鑑賞する者の考える余地を与えてくれている。
 単なる風俗画のように教訓的ではない。

 フェルメールの絵が自然に入ってくるのはこういう事だったかと納得。
 風俗画も読み解く面白さがあっていいのだが、そういう見方しかできなくなってしまっていたことに気付かされた。
 そう言えば写真を見るとき、スムースに自分の中に入ってこない作品を見るとどうしてもこねくり回して考えてしまう。

 スムースに入ってくる絵画や写真をもっと見てみたいものだ。

 講演会が終わり、いよいよ鑑賞タイム。

<フェルメールからのラブレター展>
 2011.6.25-2011.10.16
 月休(祝は開館)
 9:00-17:00
 京都市美術館
 京都市左京区岡崎円勝寺町124

 コミュニケーションをテーマに集められた絵画たち。
 会話や人々の触れ合いなどから、手紙にクローズアップし、メインのフェルメールの3作品に繋ぐと言う興味深い配置だった。

 気になった絵画の感想は以下の通り。

 「教師にお仕置きをされる生徒」 ヤン・ステーン
  ヤン・ステーンの風俗画は結構気に入っている。
  この絵もやっぱり面白い。
  中央の少女の嫌味ったらしい笑みがいい味出してる。

 「ラブレター」 ヤーコブ・オホテルフェルト
  手紙を読む少女の表情や仕種がとても魅力的。
  恋してるなあって感じが伝わってくる。

 「羽根ペンを削る学者」 ヘリット・ダウ
  気難しいオヤジが羽根ペンをナイフで削っている。
  うまく削れるように目を凝らしている顔が面白い。

 「ヤーコブ・ビーレンスとその家族」 ヘンドリック・マルテンスゾーン・ソルフ
  奥の暖炉の前を見ると・・・キジ白ネコが!
  この時代の風俗画には犬は寓意としてよく描かれているが、猫はあまり見受けられないような気がする。

 「手紙を書く女」 ヨハネス・フェルメール
  こちらを向く女性の柔らかな顔つきがいい。
  黄色を基調とした服装も柔らかな雰囲気を醸し出している。

 「手紙を書く女と召使い」 ヨハネス・フェルメール
  手紙を書いている女性より、召使いの女性の窓をチラッと見た意地悪そうな表情が面白い。
  こちらの方がメインじゃないか。

 「手紙を読む青衣の女」 ヨハネス・フェルメール
  落ち着いた横顔が魅力的。
  目が少し寂しげなところも描かれているところも素晴らしい。


 身振り手振りも有効ですよと言うマニュアルやラブレターの書き方指南のマニュアル本があったり。
 そして、手紙のやり取りはe-mailなど方法が多くなって、今も頻繁に行われている。

 当時のコミュニケーションも現代のコミュニケーションも基本は変わらない。

(追記)
 ■フェルメールからのラブレター展@京都市美術館 に行ってきました 2回目。(2011.8.10)
 ■フェルメールからのラブレター展@京都市美術館 に行ってきました 3回目。(2011.9.8)

(企画展に参加します。)
 水ノ流ルル(7.12-7.17、神戸 アトリエとギャラリー 晴空)
 写真での参加です。

(2016.4.15追記)