今日はいい天気。川沿いを歩いてどこまで行けるか。

 と思っていたのだが、その計画は突然終わりを告げる。

 みゃーみゃーと鳴く声を聞いた。子ネコの声。

 見ると、おれがいるところから下に降りたところに箱が置かれており、その中に子ネコの顔が見えた。
 うわ、捨てネコか・・・・。

 犬の散歩などをしている人が、その下の道を通っていくが、気がつかないのか、知らん振りなのかわからないが、何も見ることもなく通り過ぎていく。

 おれにも知らん振りをすることもできた。そのまま、その場を去ることもできた。
 でも、できなかった。できるわけないだろ。

 でも、頭の中をいろいろなものがぐるぐる回った。
 このネコの面倒を見なければならないんだぞ。そのまま違う場所に捨てるわけにはいかないんだぞ。自分で飼えなければ、里親を探さなければならないんだぞ。

 そういう考えが頭をめぐったが、身体はネコのいるところへ向かっている。

 おれはほっとけなかった。この場を立ち去れば、おれはもう二度とネコに目を合わせられない。ネコの写真なんて撮れないと思った。

 ネコのいるところへ行こうと、まずは下の道へ降りてみた。しかし、そこから上るのはきつい。荷物もあるし。
 上から行ったほうがよさそうなので、また道を戻り、上からネコのいる場所へ。

 箱の中を見ると2匹いる。1匹でも驚きなのに、2匹もいるなんて。
 でも、このネコたち、かなりきれい。ノラネコの子供は鼻水たらしてたり、目やにが出ていたりするのが多いのに、このネコたちはそんなことがない。毛つやもよさそう。
 捨てられて間がないようだ。

 箱の中から出られないようなので、一度箱を倒してネコたちが出てくるのを見ていた。ネコたちはうろうろするが、ここから移動するにはあまりにも小さい。このまま下に落ちてしまいそうで怖い。
 もし、このままでうまく移動できるのならば、自然の中で生きてもらおうという虫のいい考えもあったが、やっぱりそれはだめだ。

 ネコを眺めながら、どうするかを考えていたところ、上から女の人の声が。
 おれがネコを見ているのを見て、声をかけてくれたらしい。この人がネコをもらってくれるとは思ってはいなかったが、しばらく話をする。

 何しろ、おれはネコを飼ったことなど一度もないのだ。
 えさをどうすればいいかとかぜんぜんわからん。とりあえずこの人に聞いてみた。
 えさをお湯でふやかせて食べさせると言っていた。この人、ネコを飼った経験があるんじゃないかな。
 でも、この人はネコを引き取ることはしなかった。それはわかっていたからショックでもない。声をかけてくれたことがうれしかった。
 1匹飼うのも2匹飼うのも一緒だというようなことを言っていたが、これはちょっとおれにはきついなぁ(笑

 もう決心した。おれはこのネコたちを連れて帰る。ここに置いておけない。

 ネコがしきりに鳴いて仕方がない。入れているのが段ボール箱なので、歩いているとまるでおれがネコを捨てに行くような感じに見えるんじゃないか。
 しかし、そんなことを気にしている場合ではない。

 しばらく歩くと駅があった。ここから電車に乗ろう。
 その前にえさをと思ったが、この箱を抱えて店に入ることができなさそうなので、えさはしばらくあきらめてもらうことにした。ペットショップも見当たらなかったし。

 駅員に、ネコを連れているのだが乗ってもいいかと聞くと、手回り品切符を買ってくれとのこと、見ると270円だって。おれの運賃が180円なのに、ネコのほうが金がかかるのか(笑
 電車の中ではいすに座ることもせずに、外を眺めていた。

 ふと靴を見ると、ちょっとぬれている。あ、もらしたか。
 あわてて、かばんからティシューを取ろうとしたが、こういう時ってなかなか出てこないもんだ。ティシューはあきらめて自分が持っていたタオルで床と靴とを拭いた。

 降りた駅近くにペットショップがあれば、そこに行ったのだが、どこにあるかわからない。ネコもおとなしくなっていたので、もうこのまま歩いて帰ってしまおう。

 そのままずっと歩いて、知っているペットショップへ入る。
 箱の中のネコを見せて、これくらいのネコならばどんなものを食べるのかと聞いた。
 ここ5日はミルクを飲ませる。そして順調にミルクを飲んでいるならば、その後はミルクに離乳食を混ぜて食べさせる。そして5日くらい見て、普通のえさをお湯でふやかして食べさせる、と言う順序でえさを変えていくそうな。

 後、排便がうまくいかない可能性があるので、その場合はぬれたティシューで肛門などを刺激してやるといいそうな。
 先ほど、お漏らししたのはどちらだろうか。わからない。

 ペットショップの人は手馴れたもので、ひょいと子ネコを取り出すと、ミルクを注射器で飲ませてくれた。爪まで切ってくれた。

 近日中に医者に見せよう。ここには動物病院もあるみたいだから、そこでとりあえず見てもらうことにする。

 帰宅して、段ボール箱を新調し、中に新聞紙を敷く。上にはすだれを置くことにする。これなら逃げられないだろう。空気も通るしね。

 正直なところ、厄介なものを背負ってしまったと思う。
 でも、ネコを探してうろうろしていたら、こういうことになってしまうんじゃないかとはおぼろげながら自分の頭の中にあったんだ。

 家では飼えないので、この子達の里親を探さねば。

 保護したのはこの子達です。

ついにこの日が来てしまった。

 動画はこちら。


(2016.9.21追記。)